複合型の商業施設での建築デザインの目的は、洗練された外見、利用者にとって使い勝手の良さ、形の異なるビル同士が調和して、良い関係性をみいだすことです。これは基本的に相反する目的となることが多いですが、建築デザインの分野では、多くの経験によって、より良い空間づくりのノウハウが蓄積されてきています。
空間と空間の関係
ここでは、ゆるやかな凸面曲線がデザインの核となっている2つのビルを向かい合わせに配置することで、強力で気の流れの良い空間をつくっています。ビルの前面にも背面にも特徴があります。

そして、建物の背中の部分はカーブの頂点となり、気が建物にとりこまれ、それによって2つのビルの中の気が磁石の力のようにこの部分で引き合います。
2つの離れたビルの中の空間の気がお互いに近づき合うので、ここに中央回廊をつくるととてもスムーズな気の流れが生れ、2つのビルを気が行きかうことができます。
左図の紫色の部分に示される中央の回廊を気が常に流れ、気の流れが停滞するということがなくなります。
凹面曲線の外側では気を歓迎することができますし、内側中央の部分に2つのビルを融合して気を1ヶ所に集めることができ、その結果、新鮮で動きのある気がビルに行き渡ります。
外側の入口から入った気が、曲線形のビルの中で磁力的な力によって気が循環し、パワーの強い気が中庭側に流れ、さらに3つのビルの接続部でパワーを増しながらビルの内外を巡り、広がって行きます。
視覚的な関係性
ビルが人をひきつけるかどうかは、空間のつくり出す感覚的な影響によります。そのような視覚的な効果はビルの正面のデザインによって大きく左右されます。この例では、外側が凹面曲線となっているデザインは、建物があたかも両手を広げて大歓迎しているように見えるので、来訪者は無意識に歓迎され心地よく感じます。
もう1つのデザインのポイントは、タワー棟、低層棟、それ以外の部分との間に視覚的な関連が感じられるようにすることです。デザイン的につながりをつくることで、3つのビルが三位一体となります。
視覚的に3つの建物が1つに見えるということは、複合型の商業施設には重要です。
この視覚的なつながり感は、形と色によって強調することができます。タワー棟のデザインは横線が強調されていて、タワー棟と低層棟を結ぶポイントとしても機能しています。このような共通デザインがタワー棟と低層棟に視覚的なつながりを与えます。
色はビルの特徴を強調する手段として素晴らしいです。ここでは3つのビルの接続部分にあたる広場を強調するために赤が使われています。また、タワー棟の外側に使われている赤によって、タワー棟を目立たせていて、入口の向きもこれによって明らかになります。
オブジェ
人は第一印象で次の行動を決めるからです。
入口に見える彫刻的なオブジェは施設に入る人に対し、影響を与えるのです。
オブジェは人の心に第一印象として良し悪しの感情を与える、これはまさにシンボル風水の効果そのものです。
装飾的な彫刻やオブジェ、シンボルなどのデザインはこのように施設全体の風水に大きく影響するのです。
また、このオブジェの存在が後ろにあるタワーを含む施設全体を圧倒することのないよう、奇をてらったデザインは避けています。オブジェは施設のビル同士に視覚的な関連性を与え、そして利用者の無意識にも快適に感じられるようなものがふさわしいのです。
複合商業施設に限らず、どのようなビルの建築デザインでも、ビルと利用者の調和した有効な関係づくりを目指すのは良いことです。
見た目の良さ、ビルの中の空間と空間の関係を理解し、どうすれば良い気がつくられて、流れるのかを考えるのです。
これが良い気をつくる基礎的な考え方で、そうすると調和と安らぎのある気持ちの良い空間ができるのです。